相続財産の調査 |
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相続の対象となる財産の調査・確定作業を行います。調査の結果は、財産目録の作成により完了します。
「どの財産が、どれだけあるのか」ということが誰が見ても分かるように財産目録を作成することが重要です。
相続人の調査 |
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相続人(法定相続人)に誰がいるのか調査を行います。 戸籍の収集等により、相続人に漏れがないようなリストの作成をしておくことが好ましいでしょう。
行政書士などの専門家に依頼して相続人リストの作成をすると、正確性が担保されます。
節税対策 |
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相続財産と相続人の調査・確定作業が終了したら節税対策に取り組みます。節税の方法には財産評価を下げる方法と生前贈与の2つが効果的です。
遺言書の作成 |
相続が争族にならないためには遺言書を生前にきちんと準備しておく事が重要となります。今回の民法(相続法)改正で遺言制度が見直され自筆証書遺言の方式が緩和されました。(2019年1月13日より施行)
※死亡届の提出(死亡から7日以内)
相続の開始=被相続人の死亡 |
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なるべく早く! ◇民法では遺言相続が優先されますので、遺言の有無を確認してください。 ◇公正証書遺言以外の遺言書の場合は家庭裁判所での検認手続きが必要です。 ※2020年7月10日より、法務局における自筆証書遺言の保管制度が創設されます。この制度を利用すれば裁判所での検認手続きは不要となります。(利用しない場合は従来通り検認手続きが必要) 相続財産及び債務の把握・評価 ◇不動産・預金などの財産だけでなく、借金などの債務についても調査をする必要があります。 遺産分割協議 ◇遺産の評価額を算定します。 ◇遺言書がない場合は相続人全員で遺産の分割方法を決めます。 ◇相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)までに分割協議がまとまらないと、税務上不利益となる可能性もあることから、早めに話し合うことが大切です。 |
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3ヶ月以内 ◇財産よりも債務(借金)が多い場合等には、相続開始から3ヶ月以内に「相続放棄」や「限定承認(プラスの財産の範囲内で負債を承継すること)」をすることができます。 手続きは、家庭裁判所に戸籍謄本などの書類を添付した申述書を提出して承認をもらいます。 |
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4ヶ月以内 ◇相続開始から4ヶ月以内に被相続人の所得税・消費税の確定申告(準確定申告といいます)が必要となります。 不動産所得や事業所得などの所得税の確定申告は通常翌年3月15日までに行いますが、個人が死亡した場合には、被相続人のその年の1月1日から死亡の日までの期間の所得を確定申告しなければなりません。 |
※相続を放棄した相続人の方は以後の手続きは不要
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6ヶ月以内 ◇根抵当権が設定されている不動産は、6ヶ月以内に相続登記しないと、相談開始時からの残債額で実質抵当権として確定していますので、生前の根抵当権の余枠内での追加融資ができなくなります。相続後、追加融資を受ける場合には新たに根抵当権を設定する費用が発生します。 |
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10ヶ月以内 ◇相続開始から10ヶ月以内に、被相続人の住所地の管轄税務署に申告書の提出と納付を行います。 分割が確定していないと適用できない特例があるため、この期限までに遺産分割協議が相続人の間で整っていることが望まれます。 現金納付する場合にはこの期限まで納税しなければなりませんが、延納や物納もこの期限までに申告書に加えて申請書を提出し許可を受けなければなりません。 |
手続きすることによりもらえるもの、引き継ぐもの、やめるものなどさまざまな手続きがあります。また必要な書類も手続き先も多種多様です。
例1: 国民健康保険の加入者が亡くなった場合は葬祭費として3万円~7万円(市町村によって異なります)が受け取れます。
例2: 社会保険の加入者が亡くなった場合は埋葬料として5万円が受け取れます。
※いずれも申告制ですので手続きをしないと受給できません。加入者が亡くなった日から2年以内に申請しなければ権利がなくなりますので注意が必要です。
・生命、簡易保険請求手続き
・高額医療費の受給手続き
・葬祭費の請求
・埋葬料の請求
・住宅ローン(団信)手続き
・預貯金の引出しと手続き
・遺族年金
・死亡届
・火葬許可申請書の提出
・世帯主変更届
・児童扶養手当認定請求書
・復氏届
・婚姻関係終了届
・準確定申告
・運転免許証の返納
・シルバーパス等の返納
・パスポートの返納
・年金の支給停止届
・不動産登記
・自動車保険
・家屋の火災保険
・公共料金
・NHK
・自動車の所有権移転手続き
・電話加入権の継承
・株券・債券の名義変更
・クレジットカードの解約届
・インターネット等の解約届
遺言には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。後々のトラブルを最小限にするためには「公正証書遺言」をおすすめします。
なお、2019年1月13日より施行されている民法(相続関係)改正法において、自筆証書遺言の方式が緩和されました。詳しくは「その他相続情報タブ」の下にある「相続法改正」の内容をご確認下さい。
自筆証書遺言 |
公正証書遺言 | |
作成方法 |
遺言者が、日付、氏名、財産の分割内容などの全文を自書し、押印して作成 ただし添付する財産目録については、各頁に署名・押印すれば自書でなくても良い (パソコン・ワープロでの作成、通帳のコピー、不動産の登記事項証明書等でも可) |
遺言者が、原則として証人2人以上とともに公証人役場に出かけ、公証人に遺言内容を口述し、公証人が筆記して作成 |
メリット |
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デメリット |
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民法では、被相続人の自由な財産処分を認めながらも、遺言によっても侵害できない一定の割合を定めています。
遺留分とは、この一定の割合のことで、不当な遺言をされた相続人を救済するものです。
相続人 | 遺留分 |
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配偶者のみ | 1/2 |
子のみ | 子全員で1/2 |
直系尊属のみ | 直系尊属全員で1/3 |
配偶者と子 |
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配偶者と直系尊属 |
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配偶者と兄弟姉妹 |
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遺留分の侵害があっても、その事実だけでは生前贈与や遺言等が無効になるわけではありません。遺留分を侵害された相続人が侵害を受けた部分を取り戻すためには、遺留分の侵害額の請求をすることが必要です。
2019年7月1日より施行されている民法(相続関係)改正法(以下、改正法)では、遺留分侵害額の請求権の行使により生ずる権利が金銭債権となりました。これにより従来当然に生じていた共有関係を回避し、遺言者の意思を尊重する事ができるようになりました。
※遺留分については、この他にも改正された点があります。詳しくは「その他相続情報タブ」の下にある「相続法改正」の内容をご確認下さい。
なお、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った日から1年を経過した場合には、遺留分侵害額請求権は消滅し(時効)、相続開始から10年を経過した場合にも(相続の開始等の事実を知らなくても)、遺留分侵害額請求権は消滅します。
せっかく遺言書を作っても、遺留分を侵害していると、相続争いのタネになる場合もあります。遺留分に十分注意を払い、遺産を特定することが大事です。
遺産の分割方法によっては、相続税が減少するケース(配偶者の税額の軽減の活用など)もありますので、2次相続を考慮して将来を見据えた分割を考えることが大切です。
※2次相続とは、相続した相続人が亡くなって被相続人になったときの相続をいいます。